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新紙幣発行における飲食店の対応と影響を調査。キャッシュレス化進むも、完全キャッシュレス店舗は0.3%にとどまる。
2024.08.21
飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスをワンストップで提供する「飲食店ドットコム」を運営する株式会社シンクロ・フードは、飲食店ドットコム会員を対象に、2024年7月3日に発行された新紙幣について、飲食店の取り扱いに向けた対応と、発行後の影響を調査するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
本調査について
調査概要
- 調査対象:飲食店ドットコム会員(飲食店経営者・運営者)
- 回答数:391
- 調査期間:2024年7月11日~2024年7月18日
- 調査方法:インターネット調査
回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち71.6%が1店舗のみを運営。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は49.6%(首都圏の飲食店の割合は68.4%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。
調査結果について
キャッシュレス化進むも、完全キャッシュレス店舗は0.3%にとどまる
最初に、現在自店で導入している決済方法をすべて選んでもらいました。最多はやはり「現金」で99.7%。次いで「クレジットカード、デビットカード(83.4%)」、「QRコード決済 ※Suica、PASMOなど(75.4%)」、「交通系電子マネー(50.1%)」と続きます。またインバウンドが増加する一方、「海外のQRコード決済 ※Alipay、WeChat Payなど」は、59.6%の飲食店が未導入であり、今後の導入も検討していないことがわかりました。
次に、導入している会計機器について尋ねたところ、最も多かったのは「iPadなどのタブレット型レジ」で、51.9%、さらに「レジスター専用機(40.4%)」、「ハンディオーダー ※従業員が専用機器を使用(24.3%)」という結果になりました。「タッチパネル ※セルフオーダー、テーブルオーダー」、「券売機」、「自動釣銭機」は、9割以上の飲食店が導入しておらず、今後の導入も検討していないことがわかりました。
新紙幣対応が必要な飲食店のうち、すでに「対応済み」の店舗は約7割
上記で「券売機」や「自動釣銭機」を導入していると回答した店舗を対象に、7月3日の新紙幣発行に伴う対応について聞いたところ、「まだ対応できていない」が32.1%を占めたものの、67.9%がソフトウェアのアップデートや部品の交換など、既に何らかの対応を実施したことがわかりました。一方で、この機会にキャッシュレス対応に切り替えた店舗は0%でした。
続いて、機器の修理や入れ替えにかかった総額を聞いたところ、対応済み飲食店の72.2%が「50万円以下」と回答。44.4%は「10万円未満」という結果になりました。
一方、「券売機」または「自動釣銭機」を導入している飲食店のうち、新紙幣発行に対して「まだ対応できていない」と回答した約3割に、今後どのような対応を行う予定か聞いたところ、最も多かったのは「ソフトのアップデートをする」で44.4%。また、「キャッシュレス対応に切り替える」との回答も11.1%みられました。
まだ慣れぬ新紙幣、会計時に釣銭ミスも
本調査の実施時点(2024年7月11日~2024年7月18日)で、来店客による新紙幣での支払いがあったか聞いたところ、54.5%が「はい」と回答。新紙幣発行から1~2週間で、約半数の飲食店に流通していることがわかります。
次に、新紙幣発行に伴う対応をする(していく)なかで、具体的に大変だったことや困りごと、トラブルなどがあったかを自由回答形式で尋ねたところ、72.4%の飲食店から「特にない」という趣旨のコメントが寄せられた一方で、以下のような意見もみられました。
会計ミスの懸念
- まだ見慣れない物なので会計繁忙時間に確認作業で戸惑う事が予想されます(東京都/ラーメン/2店舗)
- ピン札が多くて従業員が多くお釣りを返してしまっていた(千葉県/焼肉/3~5店舗)
- 新札は数え辛いこと。旧札 も釣り銭としてまだあるので、お客さんに確認するのに時間がかかる(神奈川県/カフェ/1店舗)
偽造紙幣かどうかの判断ができない
- 現時点ではまだトラブルはありませんが、新札が偽札でないかの見分けがつかなそうで不安です(東京都/和食/1店舗)
- 万が一不正に作られた紙幣を使われても判断できない気がする(岡山県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 新紙幣に慣れてないので、真贋について不安がある。海外出身のスタッフはなおさら不安が大きい(東京都/アジア料理/1店舗)
銀行窓口での両替に不便を感じる
- お客様にはお釣りを常に新札でお渡ししていますが、銀行に両替に行くと新札不足で在庫切れが多々あるので大変困っております(東京都/和食/1店舗)
- 6月ごろから両替で新札が手に入らなくなったこと(紙幣でのおつりは基本的にピン札にてお返ししていたため)(東京都/イタリア料理/1店舗)
- 新札発行が銀行により手数料がかかる(東京都/イタリア料理/1店舗)
また、券売機や自動釣銭機(自動釣銭機能も含む)を使用している店舗からは、主に新紙幣対応機種への入れ替えにかかるコスト面などの問題が示されました。
コストや手間の増大
- セルフレジのアップデート、部品交換などに費用が掛かった(東京都/イタリア料理/1店舗)
- 新紙幣への対応するレジに変更する費用の負担が大変(神奈川県/その他/31~50店舗)
- 補助金に期待したが無かったのは残念に思う(青森県/ラーメン/1店舗)
- 新紙幣対応ユニット交換が面倒(東京都/アジア料理/1店舗)
- 余裕をもって1月末に部品を発注したが、納品が遅れに遅れ、6月末になってようやく納品され、冷や冷やした(東京都/ラーメン/1店舗)
飲食店の8割がキャッシュレス決済導入済み。最大のネックは「手数料負担」
キャッシュレス決済導入に関する現状と今後の意向について聞いたところ、現状84.1%の飲食店がキャッシュレス決済を導入しており、そのうち最多の50.9%が「既に導入しているが、取扱種類は変えない」、次に29.4%が「既に導入しており、今後も取扱種類を増やしていきたい」と続く結果となりました。
また、導入にあたり、最もネックになると思われること(またネックとなっていること)を聞いたところ、71.3%が「手数料のコスト増加」と回答。「売上入金タイミングの遅さ」と回答した店舗も1割ほどみられました。
最後に、キャッシュレス決済導入の意向について「現在は導入しておらず、今後も取扱を予定していない(9.2%)」と回答した店舗に、その理由を聞いたところ、最も多かったのは、やはり「手数料の負担削減」や「売上が入金されるまでのタイムラグを避けたい」という趣旨の回答で、63.9%を占めました。その他の回答を以下にピックアップします。
お客から要望がない、現金払いのニーズがある
- お客様の要望が少なく、手数料が経費の増大に繋がってしまう為(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)
- 高年齢、高所得者の現金支払いのニーズがある(神奈川県/フランス料理/3~5店舗)
- 今の状態でお客様から不満が出ていないため(東京都/バー/2店舗)
オペレーションの手間が増える
- 仕事量が増えるから(東京都/バー/1店舗)
- 人員不足(東京都/ラーメン/1店舗)
券売機や自動釣銭機を使用していない飲食店では、新紙幣の発行に際してさほど大きな問題はみられませんでした。とはいえ、ほとんどの飲食店が現金での会計を行っている以上、正規の紙幣かどうかを見分ける目はある程度養っておく必要がありそうです。
※「飲食店ドットコム(株式会社シンクロ・フード)調べ」
飲食店リサーチプレスリリース詳細
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